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「ADHDによって誤解されやすいこと」は、前向きに捉えられる部分もあります。例えば、表の❶は「切り替えが早い」、❸は「積極的にコミュニケーションができる」と捉えることもできます。本人と周囲の人がその特徴に気づき、ネガティブに捉えがちな特徴に関する認識を捉えなおすことにより、ポジティブな気持ちで向き合える場面を増やすことが大切です。「勉強や仕事の机には不必要なものは置かないようにする」やるべきことを書き出したスケジュール表を貼っておく」「スモールステップで課題を小分けにする」など、集中しやすい環境を整え、工夫をすることも重要です。幼児期・学童期にADHDが疑われる場合、家族や園・学校の先生だけで解決しようとするのではなく、小児神経科や児童精神科などの専門医や、地域の保健センター、児童相談所などに相談しましょう。保護者、専門家、園や学校の先生などが関わることが大切です。大人の場合は、精神科などの専門医や発達障害者支援センター、精神保健福祉センターなどが相談先となります。感情の起伏が激しく、ぐずって泣くことが多い場合もあります。「抱っこやベビーカーなどを嫌がる」ずっとしゃべっている」突然走り出す」などの特徴が見られることがあります。幼児期では「不注意」の特徴が目立つことは少なく、「多動・衝動性」の特徴が多く見られ、物にぶつかったり、転んだり、ケガが多いという特徴も出やすいです。一見「活発で元気」「好奇心旺盛」な子どもに見えるかもしれません。学童期では、「不注意」な特徴が現れる子も増えます。「多動・衝動性」の特徴により、友達とトラブルになるなどの問題が起こることもあります。またADHDの特徴により、学校や家庭での学習面の問題が出る場合もあります。多くの子は、学校や家庭で叱られることが多く、自尊心の低下が見られることが多くなります。大人になると、目に見える「多動・衝動性」の特徴は目立たなくなることが多いですが、内面的な思考では落ち着きのなさが残ることがあります。また、「不注意」の特徴は、仕事などで問題となり、社会生活に影響が出ることもあります。就職や結婚などにより、人間関係が複雑になり、許容されないことが増え、本人の性格や態度の問題と指摘されることも少なくありません。失敗体験や自尊心低下が積み重なると、二次的にうつ病や対人恐怖症などを伴うことがあります。どのライフステージでも見られるADHDによって誤解されやすいことを右下の表にまとめます。幼児期学童期大人になってから「多動・衝動性」の特徴の例●授業中など座っていないといけない場で、思わず席を離れてしまう●順番を待つことが苦手●手遊びや貧乏ゆすりなど、手足をよく動かす●思ったことをすぐに口にしてしまう●人の話を遮って話してしまうことがある●静かにしないといけない場でしゃべってしまうことがある表.ADHDによって誤解されやすいことすぐに飽きてしまう、興味・関心が移りやすい→「やる気がない」さぼっている」などと思われる❶約束を忘れてしまう、話を聞き逃す→「悪意がある」わざとやっている」などと思われる❷ずっとしゃべっている、思ったことをすぐに言ってしまう→「相手のことを考えていない」優しさがない」などと思われる❸力を発揮できる環境を作るためにWellTOKK2024Winter|09