WellTOKK vol.032 2024 Winter

「健康寿命の延びる沿線」の実現を目指し、沿線にお住まいの皆様の健康づくりを応援する健康情報誌です。2024 Winter vol.32(2024年冬号)では、健康のために甘いものを我慢しているけどたまには食べたい!甘いものは好きだけど健康も気になる。そんな時にぴったりのヘルシーなおやつ選びのポイントをご紹介します。


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お酒をたくさん飲む人の病気というイメージが強い「脂肪肝」。「私は飲酒習慣がないから大丈夫!」と考えている人もいるのではないでしょうか?しかし、お酒を飲まない人や痩せている人が脂肪肝と診断されるケースもあり、油断は禁物。今回は、飲酒が原因ではない「非アルコール性脂肪性肝疾患」を中心に、脂肪肝の原因や診断・治療などについてご紹介します。講座お酒を飲まない人も注意!「脂肪肝」POINT脂肪肝と生活習慣病生活習慣病を発症していると、併せて脂肪肝も発症しやすくなります。例えば糖尿病・脂質異常症・高血圧では、高率に脂肪肝を合併しています。また、脂肪肝があれば、動脈硬化性疾患(脳梗塞・心筋梗塞・腎硬化症など)の発症リスクが倍増するため、脂肪肝はメタボリック症候群のひとつともいえるでしょう。気になるギモンを解消!診断はどのように行うのですか?脂肪肝には、ほとんど自覚症状がありません。健康診断で、肝機能検査〔AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GPT〕、肥満度(BMI)、飲酒習慣などから脂肪肝のリスクが高いと判断されます。また、腹部超音波検査を受けることで発見されることも多くなっています。さらに、肝炎ウイルス感染(B型・C型)や薬剤による肝障害、自己免疫性肝炎などの検査をして、ほかに肝障害を起こす原因が除外されると脂肪肝と診断されます。NASHへと進んでいる可能性がある場合には、線維化の程度を調べる計算式(FIB-4Index)でスクリーニングしたり、エラストグラフィ(画像検査)や肝生検(肝臓組織の一部を採取して行う検査)を行ったりして、進行度の判定が行われます。脂肪肝はどんな病気ですか?脂肪肝は、肝臓に脂肪が沈着し、肝臓としての機能を十分に果たせなくなる病気です。何もせずに放置すると、脂肪肝炎から肝硬変へと進行し、さらに肝がんを発症することもあります。脂肪肝には、過剰飲酒が原因となるアルコール性と、飲酒が原因ではない非アルコール性の2種類があります。純エタノール換算で1日あたり60g以上(日本酒3合、ワイン600㎖、ビール1500㎖に相当)の飲酒が習慣となっている場合はアルコール性、飲酒量が男性で30g未満、女性で20g未満の場合は非アルコール性と定義されます。現在、国内の成人の4人に1人が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」であると推計されており、まったくお酒を飲まない人でも発症することがあります。NAFLDの大部分は、病態がほとんど進行しない「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」です。しかし、NAFLDの一部(10〜20%)は徐々に炎症が進行して「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」となり、さらに線維化が進むと肝硬変や肝がんにつながるリスクがあります。NAFLDの主な原因は食べ過ぎや運動不足であり、メタボリック症候群や肥満の人はNAFLDになりやすいことがわかっています。また、無理なダイエット、閉経によるホルモンバランスの変化が原因となることもあります。脂肪肝脂肪肝炎肝硬変肝がんナッフルドナッフルナッシュ脂肪肝の分類非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)アルコール性脂肪性肝疾患非アルコール性脂肪肝炎(NASH)非アルコール性脂肪肝(NAFL)治療はどうするのですか?残念ながら、現段階で脂肪肝に有効な治療薬はありません。アルコール性肝障害の治療法は、まず断酒です。NAFLDの基本的な治療は食事や運動といった生活習慣の改善になります。NASHで肥満がある場合は、食事と運動による減量に取り組みましょう。まずは体重の7%の減量を目標とし、治療効果が得られたら、次は標準体重を目標に徐々に減量を続けます。減量だけでは十分な効果が得られない場合もあります。NAFLDには糖尿病や脂質異常症、高血圧などの基礎疾患が関わっていることも多く、これらの合併疾患に対する薬物治療を併せて行うことで、肝機能も改善することが期待できます。放置すると10年後には10〜20%が肝硬変に!さらに数%で肝がんが発症06|WellTOKK2024Winter


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